AR/FARとは。その2

こんにちは。LEOMOの福間です。先日の”LAR/FARとは。その1”に続いて今回はLARやFARの具体的な活用方法に関して説明していきたいと思います。


まず、値の大小についての議論です。

一般的にLARは45度〜60度、FARは40度〜50度の間に収まることが多く、この範囲から外れる場合、何らかの特徴的な動きをしている場合があります。

例えばFARが70度を超えるような場合は、上死点前に大きくヒールアップをして「こねる」ような動きをしている場合があります。また同様にLARが75度を超えるような場合は、ポジションが著しく前乗りであったり、クランクが長すぎる可能性もありますが、それを補う柔軟性が備わっているともいえます。

また、前述のように自転車はサドルとペダルという2つのコンタクトポイントで下半身を自転車に接続しているため、クランク長だけでなく、サドル高やサドルの位置、クリートの位置などによって値が変化する場合もあります。

ここで重要なのは「大小に対する絶対的な良し悪しを定義するのは難しい」ということです。著しく大きいLARはポジションを再考するきっかけになりますが、柔軟性が十分にある場合にはメリットを活かしているとも言えるので、選手自身の特性を理解して考察することが望ましいでしょう。

また「LARとFARは相互に関係している場合がある」というのも重要です。上死点でヒールアップを行うことでFARは上昇しますが、同時にかかとの位置が上がるので、LARも上昇します。LARやFARが角度範囲のみを表現しているので、これらの相互関係は選手の動きを詳細に見ることで初めて分かる場合が多いですが、値から推測することも可能です。


次にわかりやすい活用方法はLARやFARの「左右差」です。

LARもFARも「角度的な可動域」を表しているので、左腿と右腿、左足と右足の値の差はそのまま動きの差と言っても過言ではありません。とはいえ、人間には「利き手」「利き足」というものが有り、筋量や柔軟性だけでなく感覚的な動作に左右差がある場合が多いので(右手と左手で同じようにボールを投げることが出来る人は少ないでしょう)、そもそも完全に一致させることは難しいものです。

ですので、1度や2度程度の差であれば些細といえますが、選手によっては5度〜10度程度差がある場合もあり、その場合は明らかに左右で動作に差があり、それがペダリング動作の最適化の余地を残している場合があります。

別の可能性として、足の長さの差や柔軟性の差が過去の怪我や事故による手術によって発生している場合もあります。この場合は根本的な改善を目指すよりも、逆にクランク長やクリート位置を左右で変化させたりすることで改善する可能性があるでしょう。


なぜ可動域(Angular Range)なのか

最後に多くの方はこの疑問を持つでしょう。最大角度と最小角度が分かっているならば、それを表示したほうがより役に立つ値であるはずです。なぜTYPE-Rは絶対的な角度ではなく、可動域という情報量の少ない値を表示するのでしょうか。

それは大腿や足先の絶対的な角度を知る術がないからです。センサーは加速度センサとジャイロによって加速度と角速度情報を常に取得し続け、動きがそれほど激しくなければ重力方向を明確に定義することで絶対的な角度をかなり高精度に推定することが可能です。これは現在VRゴーグルやスマートホンで多く利用されている技術と同じものです。ですが、自転車やランニングのように高速で同じ動作を繰り返すような動きの場合、動きが激しい上に動作が止まる瞬間がほぼなく、加速度センサーやジャイロを用いた推定の「ずれ」が次第に大きくなり、絶対的な角度の推定には限界があるのです。とはいえ、センサー自体は情報を出し続けるので、これらを統合的に計算することで、「可動域」という少し俯瞰した値であれば正確に算出することが出来るのです。




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