FTP計測から読み解く全日本TT

今回はFTP計測によって選手の特徴を理解した上で、実際のレース(全日本選手権個人タイムトライアル)のデータをどのように解析するかを紹介します。


前回の記事”FTPを用いたMPI入門”はこちら


LEOMO Bellmare Racing Teamの横塚選手の全日本選手権個人タイムトライアルのデータをFTPテストのデータとともに見ていきます。




Fig. 1:FTPテスト(20分の全力走)


Fig. 2:FTPテストのデータ詳細


  • 横塚選手のFTPテストからわかる疲労に伴う特徴
  • 右足のFoot ARとQ1が大きくなり左右差が拡大
  • DSSが減少


Fig. 3:全日本TT詳細 ※Pelvic Sensorをつけていないため骨盤のデータは無し




Fig. 4:全日本TT 全体



Fig. 5:全日本TT 1周目



Fig. 6:Lap 1のデータ詳細

全日本TTとFTPテストのデータの比較

    • 全日本TTでは横塚選手の疲労時に発生するモーションデータの特徴が見られる
      • スタート数分後からQ1とFoot ARの左右差が拡大(Fig. 5、Fig. 6)
      • 右DSSが徐々に減少(Fig. 5、Fig. 6)
    • TTの1周目はFTPテストよりも走行時間が短く平均パワーは低い。それにもかかわらずスタート直後から疲労に伴うモーションデータの違いが見られる。これはスタート直後に1000W以上のパワーを出してしまっていることが原因ではないかと考えられる(Fig. 5、Fig. 6)。よって、横塚選手はこのTTで非常にきつい状況でレースの大部分を走った可能性が高い。

このようにFTP測定等のプロトコルでTYPE-Rを活用して選手の特徴を把握することで、レース中の選手の変化がデータのどの部分(横塚選手の場合はFoot ARやQ1の左右差、DSSの減少傾向)にあらわれてくるのかを把握することが出来る。平均パワーとタイムが2周目から3周目にかけて上がっていることからも分かる通り大きく失速してはいない。パワーやタイムではレース全体をまとめている印象もあるがモーションデータからはレース全体を通してFTPテストの後半と同様の状況で走っていたことがわかる。今後はその特徴を基にレース中にどのように対応していくかが鍵となるだろう。

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